“The White Helmets: Line of Battle” (ホワイト ヘルメット:ライン オブ バトル)は、シリアのホワイトヘルメットに関するメディア戦における様々な”プレーヤー”の関わりを体系的な図表で描写したものです。

シリアの市民防衛組織であるホワイトヘルメットは、中立性と公平性をモットーとして活動しています。しかし、西洋諸国とロシアの両方のメディアは、彼らを異なる見方で描写し、シリア戦争に関するメディア戦での焦点となっています。

この作品は、西洋諸国とロシアのメディアの対立をホワイトヘルメットを通じて浮き彫りにし、シリア戦争におけるメディアのナラティブと地政学的な利害がいかに複雑な問題であるかを表すことをゴールとしています。

リサーチで分かった、あらゆる機関の関係性をロジカルに示すため、ポスター全体を横に5分割して、左からアメリカ、西欧諸国、中東、ロシア、アジアの”プレイヤー”を配置。また、縦に３分割して、上から政府機関、企業とNGO、メディアの”プレイヤー”を配置し、互いがどう関わっているかをダイアグラムにしました。

視点で大きく見方が変わるこの題材を扱うに当たって、デザイナーとして中立の立場であることを表すため、ダイアグラムには無機質なフォントとカラーを使い、まるで機械が作ったかのようなデザインにしました。

このポスターは、折りたたんで冊子様式にもなり、テキスト部分にはメディア合戦のヘッドラインやサブヘッドラインが引用されています。白熱している様相だけでなく、片方のメディアの情報だけに囚われないようにとの警告の意味もこめて、赤いフォントを大胆に使いました。